回廊館の殺人
「人使いが荒いな~康君は。」

宮下が文句を言いながら10号室の方へ消えていく。

『ガチャン』

扉が閉まる音を確認して、康之はもう一度扉ののぶを回してみた。

『カチャ』

今度はすんなり扉が開く。

扉は押して開けるタイプなので蝶番を康之のいる方向からいじることはできそうにない。

「やっぱり前の扉が開いた状態で次の扉を開けるのは無理そうだな。」

呟きながら康之が扉を閉める。
そして、手前の扉の方に移動して扉の向こう側にいる宮下へ声をかける。

「おーい、そっちの扉を開けてくれないか?」

『バタン!』

「んがっ」

凄い勢いで扉が開き、康之の顔面にぶつかる。

「あれ?
康君がいない??」

扉を開けた宮下が部屋に康之がいないのを見て不思議そうに呟く。
すると、

「お~い。」

少し怒ったような康之の声が扉の裏側から聞こえてくる。

「うわぁ、康君なんでそんな所に!?」

扉を閉じてその裏にいた康之を見つけて宮下が悲鳴をあげる。

「あんなに勢いよく扉を開けるからだろうが!!」

鼻をさすりながら康之が言う。

とりあえず現場検証でわかったことは前の扉が開いた状態で次の扉は開けられないということだけだった。
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