君と奏でる恋の詩。
「じゃ、鞄、置いてくるわ」
「りょーかーい」
美由ちゃんはそんな私達には気づいていないようだった。
多分、鈍感なんだろうな。うん、良かった。
離れていく南くんの背中を見ながら、ぎゅっと心臓の辺りを手で押さえる。
――あの、南くんが私を…“可愛い”と言ってくれた夢のような日から。
何だか気恥ずかしいというか気まずいというか。
2人の間がそんな空気になってしまって、ぎこちなくしかしゃべれなくなってしまった。