Love Trip in Italy (番外編)
杏花が相手だと、こうもペースが乱される。
はぁ…、どうしたものか…。
微動だにせず小さく丸まっている杏花を、横目でチラリと見る…俺。
やっぱり杏花は緊張している様子。
俺が初めての男だって言ってたから、恐らく風呂に一緒に入るのも俺が初めてなんだろう。
杏花の……初めて………。
他の誰でもなく、俺だってことがこの上なく嬉しい。
そんなことを考えていると、つい笑みが零れてしまう。
前髪に当てていた手を湯の中へ入れようと…下ろしかける。
ほんの少し動かしただけで…
杏花は小動物のようにビクッと身体を揺らす。
はぁ……。
マジでどうしていいのか分かんねぇ。
今までこんな事イチイチ考えもしなかったのに…。
仕方がない!!
入っちまったもんは変えられねぇ。
俺は…再び、意を決して……
「杏花。何もしないから、抱きしめてもいいか?」
「えっ!?」
杏花は目を見開き、振り向いた。