なんでも屋 神…最終幕
恐怖に耐えきれず、それを無理矢理取り払うかのように出した質問。



今は、思考を切り替える事だけに必死だった。



「自分は家族の近くに居てやれんから、儂に頼むと言ったんじゃ。依頼を断ってこの辺に居辛いと思うなら、暫くこの街を離れるのも良かろう。」



そう言って神堂は、自分の左腕に填めていた時計を外し、俺の前へ如何にも重そうな金属音と共に差し出した。



ジェイコブのファイブタイムゾーン。全面&ベゼルにダイヤが埋め込まれた品。



世界中を飛び回るセレブの為に、五つの主要都市の時間が一目で分かるように作られたものだ。



「これを売れば、幾何かの金にはなるじゃろ。足りなければ言ってくれ。」
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