なんでも屋 神…最終幕
今度は事務所内に流れる空気を鋭敏に感じ取ろうと、肌から伝わる空気を身体に馴染ませる。



未だ見えていない事務所の奥…コンクリートの壁で遮られた簡易給湯室の方向に意識を集中した。



幸いな事に、事務所にはデスクしか置いていない。



誰かが潜んでいるならば、給湯室かデスクの陰だ。



頭皮から伝わってくる汗が背骨で一つになり、一本の川になって背中を流れていく。



何事も無く過ぎていく時間…薄暗さにも漸く目が慣れ始めてきた頃、デスクの上に置かれた銀色の物体に気付いた。



俺を待っていたかのような様子で、シルバーメタリックの身体を光らせ、大きく見える銃口を此方に向けている。
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