なんでも屋 神…最終幕
最終幕第十三章
そのまま病院の長ベンチで一夜を過ごし、もう何も喋ってくれないイトさんと一緒に家へと帰ってきた。



イトさんの軽い身体を和室に寝かせ、俺は自分の部屋へ向かう階段を上っていく。



昨日廃工場を出る時に霞んで見えた叢雲は、今日になって暗雲なり、細く長い雨を降らしている。



窓枠を背凭れにして腰掛け、大量の湿気を含んだ空気に身体を包み、取り出したタバコに火を付けた。



俺の代わりに泣いてくれている天に向け、大きく吸い込んだ煙を吐き出していく。



重力に耐えきれなくなり、白く燃え尽きた灰が自然と一階の屋根に落ち、二階の窓から流れてくる雨水に流されていった。
< 339 / 447 >

この作品をシェア

pagetop