なんでも屋 神…最終幕
鍵を開ける事無く事務所の扉を開くと、約束もしていないくせに、待ち草臥れたと言った様子のノリ。



到底裏社会の人間とは見えないような、白と黒が煤けた迷彩パンツに、黒無地のTシャツという出で立ち。



「[神堂組]は暇なのか?」



挨拶も交わさぬまま、デスクに腰を置いているノリの脇を素通りし、椅子に腰を下ろす。



春から街の噂になっていた[神堂組]の代目継承は、いよいよこの夏に執り行われると、以前ノリが言っていた。



「暇っちゃあ暇だな。全国から盃事の為に親分連中が押し寄せるってんで、組員達は大忙しだろうが、俺達裏の子飼いはする事が無くてな。」
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