誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「え?」

「沙織も俺らが帰ってくるなり一生懸命心配してきたんだよ。」

すると蝶はああ、という顔になる。

「だって、すごく心配してたから。」

「ああ。そうだな。」

そして蝶はそっと俺の袖をつかむ。

「土方さん、お帰りなさい。」

「ああ。ただいま。」

こいつの笑顔を見るとやっと帰ってきたんだと実感する。

「土方さん、あの・・・・」

そして蝶は困ったように微笑む。

「どうした?」

「そ、そろそろ降ろして欲しいな・・・って・・・」

恥かしそうにつぶやく。

「俺がそう簡単に降ろすと思うか?」

「っ!!」

すると少し抗議するような瞳でこちらを見つめてくる。

「なあ、蝶。今夜は冬の月見でもしねえか?」

すると蝶はにっこりと微笑む。

「はい!今夜は一段とお月様が綺麗ですからね。じゃあ私お茶入れてきますね。」

そして俺の腕からふわっと降りる。

「相変わらずの身軽さだな。」

「えへへ?」

そして蝶はパタパタと走っていく。
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