ハスキーボイスで酔わせて


「…」


春樹さんが私を連れてきてくれた場所。

そこは小さな町が一望出来る坂の上にある墓地だった。


「ただいま、父さん母さん」



目を細めて話す目線の先には橘家と彫られた一つの墓石。


「今日は俺の大切な人連れてきたよ。どうしても紹介したくて」



そう言って春樹さんは墓掃除を始める。

私もそれを見習って手伝うことに。


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