ハスキーボイスで酔わせて


「メーン!!」



パァン!としなる竹刀が面を一発で捉える。



「ーー黒崎!何処見てんだ!!」



私へ怒鳴る顧問の声が体育館に響き渡る。


練習とはいえ、
自分より格下の相手に軽々と一本取られるなんて想像もつかない。






一礼をし切れる息をしながら面を取った私の元に顧問がやってきて、再び厳しい言葉を浴びせられる。




「練習なめてんのか!このままじゃお前を県大会には出さないぞ!!」

「……」



俯きながらジッと床を眺める私。

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