ハスキーボイスで酔わせて


「ヤル気のないヤツはいらん。体育館から出て行け!」



その言葉に部員達も思わず固唾を飲んで私を見守る。



「…わかりました」




私はそう告げると、

静寂したその場の空気から逃げるように体育館から出て行く。




「…」


その後ろ姿を晃は不安げに見つめていた。







ーーもういいや、練習なんて。


県大会とか剣道とかどうでもいいよ。
もう。




道着から制服に着替え直し颯爽と更衣室から出た私を、
慌てて駆けつけてきた晃が待てよ!と止めてきた。


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