ハスキーボイスで酔わせて
「なぁ、どうしたんだよ彩。最近何か様子おかしくないか?」
私は振り返ることもせずに背中で晃の話を聞く。
「もしかして…、その…あの…」
「何?」
「やっぱ…橘春樹との、アレが原因なのか?」
言いにくそうに話を濁す晃の言葉が確信をつく。
「付き合ってんだろ?橘春樹と」
週刊誌の記事があっという間に学校中に広まり、
もはや学内で私を知らない人間などいないだろう。
周りは私を白い目で見て、あれが例の…と指されるも最近では当たり前の光景だ。