なつものがたり


え、














果歩?









長身の男と手をつないで歩いてる。







浴衣、着て。




化粧して。











なんだよ、この違和感。













男と果歩は、あっという間に人波に飲まれていった。








幻覚、か?





は、幻覚見るほど

あいつのこと考えてるわけでもねーし。




まさか、な。









彼氏と、祭りデート?

てかまず彼氏、できたのか?



綺麗に着飾っちゃって、いつもの男勝りはどこいったんだよ。

抱きしめた時の華奢な体つきが思い出される。





そんな、女子っぽいことしてるから百合子に嫌がられんだろ?





ただの、逆ギレか。こんなん。






「お待たせっ」


「おっ!」







いきなり、抱きつかれたことにビビって変な声を出す俺。








「友達もお祭り来てるみたいで、あとでちょっと会えたらええねって!彼氏紹介してって言われてん!」



「お、そっかそっか。」








なんか、調子が変だ。









果歩にメール、するか?



なんて?




なんで?



あいつに、彼氏ができた方が


お互いちょうどいいだろ、




なんで、焦ってんだよ。






わけわっかんねーよ、俺。
















「きぃちゃん?


あっち行かへん?」





「あ、わりぃ、



なんか疲れちゃってさ、引っ張ってって?」








「えー?!大丈夫?!」















お祭りロードを奥に進めば進むほど色々な屋台があって、俺は、まだ頭がボヤーっとしながら。


だらしなくも、百合子の両手に右手を引っ張られながら歩いている。





百合子が進行方向に、横歩きをしてるってわけで。


周りから見たらちょっと異質で。
けど、周りも人だらけだしちょっとした馬鹿ップル的な感じか。









そんなことを考えながら歩いていた。








「?!」










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