なつものがたり



結局、夏祭りは千尋と合流することもなく、帰宅した。












キス、してた。






抱きしめられて、少しだけ舞い上がった自分がアホみたい。








よくよく考えれば、希鷹は、めちゃめちゃ女好きで抱きしめるくらい、なんでもないんだ。









そんでもって。


なにより、蒲田さんが大切なんだ。










諦めなきゃ いけない。

期待したら、負け。

希鷹の幸せを願うって、決めたはずなのに。









すでに夏休みに入ってから一ヶ月も経ってて、高校生の弟の侑はあと一週間もせずに学校がスタートで。






と、いうことは






希鷹と連絡をとってない日々は一ヶ月に及ぶ。






大学に入ってから、今まで

連絡を取らなかったことなんか、一度もなかったのに。










どんだけ、一途なんだよアイツ。




どんだけ、好きなんだよ、あたし。







どうやったって、

あたしには届くことのない距離なのに。









< 41 / 92 >

この作品をシェア

pagetop