君の知らない空
初めて二人で迎えたクリスマスは二日間ともアルバイト先だったから、何の約束もしていなかった。
イヴの夜はアイスケーキの予約対応に追われて言葉を交わす間もなく、あっという間に閉店時刻9時になっていた。
閉店後の片付けをしていたら店長が、
「女の子はもう上がっていいよ、遅くなると危ないから、明日もよろしく」
と言って、私を含めた女の子4人を帰るよう促してくれた。
残るは店長のほか、男性5名。
その中に桂一はいたけど、ごく普通に挨拶を済ませて女の子たちとともに退社した。
他のアルバイト仲間には、私たちが付き合っていることを内緒にしてたから特別に声など掛けられるはずもない。
私は後ろ髪を引かれる思いで帰った。
駅まで歩く道中ですれ違うカップルの幸せそうな様子を横目で見ながら、寂しさが込み上げる。
会いたい……
思うと同時に、携帯電話が鳴った。