君の知らない空
桂一は自分の家とは反対方面の電車に私と一緒に乗り込んで、二駅目の夕霧駅で私と一緒に降りた。
私が駅前の駐輪場から自転車を出してくると、彼はさりげなく自転車を取り上げて押してくれた。
たわいない会話をし始めるとすぐに、上を電車が走る高架に差し掛かった。
ほんの20から30メートルほどの距離に、等間隔に設置された街灯はさほど明るさを感じない。駅に近いからと不法に停められた自転車がいくつも並んでいるため、ガードレールとの幅は狭くて圧迫感があって歩きにくい。
今日は時間が遅いためか、人の姿はいつもより少ない。
桂一が送ってくれてよかった。
と思っていると、
不意に桂一が足を止めた。