君の知らない空


中年の男性の影からは、美香と江藤が控えめに覗いている。傍には桂一もいて、ほっとしたような顔で私を見ている。


「しかし、小さな部屋にこんな人数で入ったら窮屈だ、私は彼らを始末して帰ろう」


恰幅のいいスーツの男性は、張りのある低い声で言った。どこかで聞いたことのある声。会ったことはないはずなのに……と記憶を辿っていると、


「菅野、ここで始末するのか? だったら、彼らだけでなく他にも関係者がいるのだから、洗いざらい吐かせてからの方がいいだろう」


と細身にジーンズの男性が笑って返した。


今、確かに『菅野』と言った。市民病院の病室で、綾瀬と話していた男だ。
だったら、もうひとりは?


「そうだな、綾瀬。場所を変えて、いろいろと聞かせてもらうことにしよう」


菅野がにやりと笑うと、先輩はぶるっと体を震わせた。


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