君の知らない空



昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


「皆さん、ちょっと集まってください。
昼礼します」


課長の呼び掛けに、皆が立ち上がる。


二筋向こうの机のシマ、計器チームのチーム長が新人の彼女を連れて、課長の隣に立った。


さすがに若い。
ぱっちりとした目元はアイメイクの賜物か。色白の肌に整った顔立ちに、お嬢様っぽい清楚な服装は男性受けしそう。


上目遣いでチーム長を見る目が僅かに震えているのは、緊張しているからだろう。


男性社員らがざわめく。
課長が咳払いをして、それらを鎮めた。


「今日から計器チームで頑張ってもらうことになった、白木美香さんです。いろいろ教えてあげてください」


課長が告げると、一斉に拍手が起こる。


隣の部長室の方々も立ち上がって、紹介の様子を物珍しげに見ている。その中にはもちろん、優美の姿もある。



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