神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 死にたくない、死にたくない!

 願っても、祈っても、変わらない死の運命に抗うことを覚え、ミッシェルは人々を振り払う。

 その時に一瞬でも触れた者達が絶命しようとも、当然の報いと言い聞かせ、必死に逃げた。

 ミッシェルが逃げても、誰も追ってはこなかった。

 ”いなくなる”のであれば、"死のうが消えようがどうでもいい”のだと知った。

 どれだけ走っただろう。

 どれだけ泣いただろう。

 この寒く冷たい町に来て、ミッシェルはついに走れなくなった。

 雪の儚さが自分に似ていると一度思い、そんなの図々しいと考えを振り払った。


 
 
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