神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 「…来たよ」

 「え」

 少年が正面を見据えて目を細めたので、ミッシェルも同じ様に正面を見れば、二人の男女が立っていた。

 一人は腰に剣を下げた全身血塗れた女、一人は左腕を折れているのかダラリと下げた男。

 二人は少年の知り合いらしく、荒い息で立っていた。

 「マスター、探しましたよ!」

 金髪の女は、唇を切っているのか口の端から血を流しながら言った。

 「主人。一体あなたはどれだけ我(わたし)達に心配させれば気がすむんだ」

 男が折れた腕を押さえ、怒鳴った。

 
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