キウイの朝オレンジの夜
「確かに神野の成績は上がってる。内容も一度確認したけどいいものだった。朝から夕方まできっちり働いて、夜も早く帰るようになった、それは素晴らしい。だが――――――」
稲葉さんが言葉を切る。あたしは両手を見詰めたまま体を硬くした。
「―――――俺を避けてるのは、それと関係ない。むしろ俺を避けようとして、活動の時間帯を変えてるんじゃないのか?」
・・・マジで?
あたしはまた眩暈に襲われる。
・・・何で判っちゃったんだろう・・・。くそう、これだから無駄に頭のいい男になんて関わるべきじゃないんだ。
「・・・気のせいです。夜を早くしたのは、友達との付き合いもあるから――――――・・・」
稲葉さんが体を起こした。
「友達と?飲みに行ってたのか?」
「・・・はい。少なくとも、昨日はそうでした」
「へえ、飲みに、ね」
何だよ、嘘じゃないもん。稲葉さんの言い方にカチンときたあたしは、むっとした顔でヤツを睨んだ。
「男友達と久しぶりに。幼馴染で―――――」
「今週の目標アポは何件だった?」
いきなり遮られて、あたしは一瞬混乱する。・・・何?今週の目標アポ?