ヘタレ少年と恋模様


「だからそれ、かっけぇよ。俺だったら、そんな風に腹くくれねーもん」


はあ。
そうなのか?いや、言い返すのもめんどくさいからそういうことでいいや。


「まあ……うん。ありがとな」


そう言うと席に戻ろうとした。が、また引き留められる。


「おい、待てよ。なあ、もう少し話さねぇ?」


「え、なんで?」


「なんでって……。いや、実は一目惚れでさー」

俺は一歩下がり距離をとった。


「そういう趣味はないんで丁重にお断りします」


「ちょ、冗談だよ!冗談に決まってんだろ!マジだったらこんなとこでカミングアウトしねーよ!」


!!
……確かに。


「つーか笑えよ!いっそのこと笑ってくれよ!俺が恥ずかしい」


「ごめん、笑えない」


「冷たいな!」


なんだろうこいつ。

すっげーテンション高いな……。


とりあえずそれは一旦置いといて、本題に戻る。


「それで、なんで?」


目の前の男は大げさにため息を吐く。


「お前、もしかして鈍い?」


え、やっぱりそっち方面の話なのか?

さっきのは冗談じゃなくて、照れ隠しみたいな……。


「変な想像してるだろ、絶対。ちげーからな!俺はお前と友達になりたくて声かけたんだよ」


え。

思考が一旦停止する。

友達……?
友達って、あの友達?フレンド?


「え……え……と……もだち?」


つい言葉を覚えたばかりのような口ぶりになった。


「そうだよ。というか、言わすなよ恥ずかしい」


「と…もだち。……マジで?いいの!?」

こんなこと、面と向かって言われたの初めてだ。


なんだこれ。嬉しい。


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