金色の師弟

エルクにも、わかっていた。

王女であるミーナがいつか国のために、他の男と結ばれる運命にあると。

ただ、それが自分であればいいのにと願っていたのだ。

それは、愚かしい程純粋に。
未来を、夢見ていたのだ。

「ミーナ姫から伺ったお話ですと、最近デモンド国からやたらと書状が届くということです」

「デモンド?メルディとオネストに隣接している西の小国か?」

「はい」

西の小国、デモンド。

三国と等しく北に大国ドルネアを持つ国である。
海と大河の両方を利用した水上交易が盛んな商業の国であり、ドルネアとの貿易も盛んなため、友好的な関係を築いている。

三国に比べたら、侵略される心配は低い。
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