HERO
「梓!?」
そこには、私の腕を掴んで離さなかったあの壊れたはずのロボットの梓が立っていた。
「何?あなたのロボットなの!?」
梓の隣に立っている私と同世代程の女の人は、梓の腕を掴み私の前へと突き出した。
「いや、私の、というか―」
ロボットの梓は、無表情で私の方を見つめてくる。
その冷淡な黒い瞳を見るだけで、とても虚しくなる。
心を感じないせいか。
「まだ学習段階なんでしょ?外に出す時は行動は見張ってないと。それにここはロボットの出入りは禁止のはずよ!」
「学習段階?」
「こんなロボット造って。恋人にでもするつもり?」
「いやだから―」
「とにかく、今すぐ連れ出さないと、警察呼ぶわよ」
その女の人は嫌みのようにそう言うと梓のロボットを置いてスタスタと行ってしまった。
「私を、追ってきたの?」
ロボットの梓は首を横に振る。
「平」
「は?」
「君は、平?」
「え?ちょっと梓何―」
「君は梓?」
「いやだから違うってば」
困り果てた私を見兼ねてか、隣にいたおじさんが「どうしたの?」と声をかけてくる。
「ああ、いえ」
とその隙に梓は私の後ろに回り、結んだ髪を引っ張る。
「行こう」
「は!?ちょっと痛い!!待って!!」
梓の手を剥がし、弾みで取れたシュシュを手探りで拾う。