Together~キミと一緒に~

甲子園での試合が終わった瞬間だった。


『2対3で―――』

そう。


この試合は2対3でうちのチームの、負け―――。



あの後、高橋先輩は三振を取られてしまった。

それでもまだ8回と9回があると私たちは最後まで諦めてはいなかった。


8回の裏、相手チームの攻撃。

そこで、運命が決まり始めていた。


相手チームの4番がホームランを打った。

塁にはランナーがいなくて、1点が追加された。

仁はマウンドでただ立ち尽くすことしかできず、その後は一生懸命投げてとにかく1点だけで抑えた。


それでも、うちは9回の裏で点を入れようと頑張った。

頑張ったからこそ、力が入りすぎちゃった。

みんな必死だからこそ、焦った。



そして、我らがホームランバッターと呼ばれた山口先輩が打ち上げたボールはセンターフライとなり、試合終了となった。


「「あっしたー!」」


両チームが向かい合ってあいさつをする。


校歌が流れ、私たちの周りがしんみりとする。

負けた、から。


それを受け入れなければならない辛さが、私たちの目を潤ませた。


校歌が終わり、みんながスタンドの下まで来る。

そして、尾崎先輩が声を出す。

「応援、ありがとうございましたぁ!」



「「っしたぁぁぁ!」」



スタンドからは拍手と共に、選手のみんなにいろいろな言葉をかける。


『感動をありがとう』

『よく頑張った』

『いい試合をみれてよかった』


この試合は最高だったと、その気持ちはみんな同じだった。

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