Together~キミと一緒に~

二人がそれぞれに私たちの名前を呼ぶ。


仁が私の名前を呼んでくれる。

昨日までとは、この甲子園での試合が始まる前までとは全然違う気持ちになる。


嬉しくて、恥ずかしくて、すごくドキドキする。



「隆也っ」

「弥生・・・っ」


岡本先輩は尾崎先輩に抱きついた。

そんな二人は本当に幸せそうだった。


私と仁はそんな光景を見守っていた。


「本当は、勝って言いたかった。でも、負けちまったな。」

「ううんっ。隆也、っすごく、かっこよかったっ・・・っ」


「・・・まじ?」

「っうん!」


「じゃぁ、俺と付き合ってくれる?」


「当たり前でしょーっ」


やっぱり、二人は片思い同士の両想いだったんだ。

尾崎先輩の好きな人っていうのは、岡本先輩だった。


でもお互いちゃんと言えなかっただけなんだ。

だから、何かきっかけさえあれば通じた。


それが今日だったんですね。

二人を見ていると、私まで涙が出てきた。


「おいおい、真里亜が泣いてどうすんだよ。」

「先輩たち、幸せそうっ。」


「・・・だな。でも、隆也。このままお前ら置いて帰るぞ。なんか、腹立つし。」


「な、お前な。羨ましいだけだろ!言えよな!」

「羨ましくなんかねーよ。俺にだって好きな奴いるわけだし。」


「ほー。んじゃ早く」
「帰るぞ!!」


「あ、仁!お前!」

「真里亜、こいつらほっといて行くぞ。」


「・・・・・・」

「真里亜?」


< 221 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop