Together~キミと一緒に~
二人がそれぞれに私たちの名前を呼ぶ。
仁が私の名前を呼んでくれる。
昨日までとは、この甲子園での試合が始まる前までとは全然違う気持ちになる。
嬉しくて、恥ずかしくて、すごくドキドキする。
「隆也っ」
「弥生・・・っ」
岡本先輩は尾崎先輩に抱きついた。
そんな二人は本当に幸せそうだった。
私と仁はそんな光景を見守っていた。
「本当は、勝って言いたかった。でも、負けちまったな。」
「ううんっ。隆也、っすごく、かっこよかったっ・・・っ」
「・・・まじ?」
「っうん!」
「じゃぁ、俺と付き合ってくれる?」
「当たり前でしょーっ」
やっぱり、二人は片思い同士の両想いだったんだ。
尾崎先輩の好きな人っていうのは、岡本先輩だった。
でもお互いちゃんと言えなかっただけなんだ。
だから、何かきっかけさえあれば通じた。
それが今日だったんですね。
二人を見ていると、私まで涙が出てきた。
「おいおい、真里亜が泣いてどうすんだよ。」
「先輩たち、幸せそうっ。」
「・・・だな。でも、隆也。このままお前ら置いて帰るぞ。なんか、腹立つし。」
「な、お前な。羨ましいだけだろ!言えよな!」
「羨ましくなんかねーよ。俺にだって好きな奴いるわけだし。」
「ほー。んじゃ早く」
「帰るぞ!!」
「あ、仁!お前!」
「真里亜、こいつらほっといて行くぞ。」
「・・・・・・」
「真里亜?」