元恋人の甘い痛み【完】
耳を済ませば聞こえる近付く足音。硝子ドア越しに、足音のする方へと視線を向けた。
どうか、前を通ります様に。
直ぐ傍まで近付く足音と共に目の前へと姿を現したのは、警備員でも何でも無い雷牙だった。
「…どうして貴方が」
「携帯に電話したが出ないからおかしいと思ってな」
雷牙は手にしていた鍵を使ってドアの鍵を開けてくれ、ドアが開かれた。
「…電話って何の用だったの?」
「残業するのは良いが、早く帰れと言うつもりだった。それより誰かに閉じ込められたのか?」
「ええ、そうみたい。経理課の人よ」
「……そうか」
「…気付いてくれて…有難う」
「ちゃんと礼が言えるんだな」
「当たり前じゃない」
今回の事は感謝してるわ。