元恋人の甘い痛み【完】


必要ない。つまり私が必要ないって事。必要ないなら仕方ないけれど、そんな言い方しなくったっていいじゃない。


「言い方が冷たいわ」

「優しく言った所でどうなる?お前は気付かないだけじゃないのか?」

「…そうね、それは言える。おかしな事を言って御免なさい。それじゃあ、失礼するわね」


冷たい雷牙とまともに視線を合わせられない。此処に居たら息が詰まるだけ。


私はそそくさと社長室を後にし秘書室へと戻ろうとした刹那。前から此処最近頻繁に社長室を出入りしている女性が此方へ向かって歩いて来る。


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