元恋人の甘い痛み【完】


「こんにちは」


私は秘書室に入る前に此方から一言挨拶をし、秘書室へ通じるドアノブに手を掛けてドアを軽く開いた所で手を止めた。


「貴女、雷牙の事をどう思ってるのか知らないけど、雷牙の一番はこの私よ?」

「…一番とか二番とかどうでもいいの。私はただ、雷牙の秘書をしているだけ」

「どうかしらね。この前手なんて繋いで歩いていたけど、それでもそんな事が言えるかしら?」

「ええ、あれは大した意味ないもの。貴女が気にしている様な事は何もないわ」


何、この会話。どうして会社で他社の女性と雷牙の話をしなきゃならないのよ。


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