元恋人の甘い痛み【完】
「理由はどうあれ、叩くのは良くない。コイツの頬腫れてんだろが」
「……知らない」
それじゃあこの人が私にした事はどうなるの?って言っても仕方ない。きっと今の雷牙には伝わらない。
「話は帰ってからだ。車に乗れ」
「大丈夫…自分で帰れるから」
「何言ってんだ。夜の山中は危ない。黙って乗れ」
「…いいって言ってるでしょ」
私は二人を横切り山を降るべく歩き始めた。雷牙は私を追おうとした刹那……―――
「痛っ…」
「どうした?」
「足を捻挫したみたい」
それも嘘でしょどうせ。
そんな嘘に振り回される雷牙もどうなの。
私はガードレールに沿って歩みを進めた。