As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…柚って…、確かピアノ習っていたことあるんだよね。」



………。


はあ……?!



「あ。私も聞いたことある。」


「…ちょっと待ってよ、それってだいぶ前のことだし、全然上手くないし……」



そうだ…、
そうだよ、律!
りっちゃんの方が数段上手い………



……って、寝てるし!

完全にタヌキ……!



うわ~、マズイって、このパターン!


「…実行委員もあるし……」



「…けど、弾ける人他にいないんだから仕方ないじゃん?」



うっ……


そう言われたら……。


「…………ハイ。」


やるしか…ないじゃん。



「柚、大活躍だね~!」


笑う女子達の視線が……


痛い。



そっか……、ここ(教室)ってアウェーだったっけ。




いつからこんなに……



敵視されるようになったんだろう。


…ヤバい、
涙出そう。






「……上原さん?」



黙りこくる私に気づいた三井くんが…、
顔を覗きこむ。



「……こんなの…フェアじゃないね。」



「…え?」



「……さっき…、みんな目線逸らしたろ。ホントはもっといるんじゃないの?ピアノ弾ける人。」


……!


「…三井くん!ごめ…、大丈夫だから、私。ホラ、ちょっとブランクあるから心配だっただけで……」


「…押し付けでしょ、こんなの。俺は納得いかない。」




……わわっ……


真面目に怒ってるし。

こんな三井くん、初めて見た……。



「いーから!…やるときゃやるって、一度引き受けたからにはちゃんとこなすから。」


怒りよ~、おさまれ~!!







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