As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……私、弾けるけど。」
……え?
気づけば律が顔を上げて……
こっちを見ていた。
「……りっちゃん。」
こういうの、好きじゃないじゃん。
今までだって、伴奏なんて引き受けたことないのに……?
一方の三井くんは、ほうっと安堵の表情を浮かべている。
『いいの?』
…と私は目で訴える。
律はコクリと頷く。
なんと、頼もしい……!
困った時の『幼なじみ様様』!!
…が、
「やるときゃやるんじゃねーの?」
茶々を入れる声がひとつ。
「……………!」
………は?
「…一度引き受けたのに、あっさり交代?情けなくね?」
……おいおい……
折角丸くおさまろうとしている時に…
何を言っちゃってんの、アンタは!
中道……!
助け舟を出さないのはわかったけどさ、なぜにそんな発言……
「…それもそーだね。私もブランクあるし、やっぱ自信ないから無理。」
り……、りっちゃん?!
「…う~ん、残念ッ、上原!」
「…………。」
鬼、悪魔っ!!
今更何の仕返し……!?
鬼畜な真似を……
……が、ニヤリと笑う中道。
「…どーせなら、優勝したいじゃん?豪華副賞あるみたいだし。」
「…………。」
ザワザワと…
周囲がざわつく。
「…噂によると、結構いいモンらしくてさ。」
……。
なに、もうリサーチ済みなの?
「…いっちょ狙っていくべよ。」
……訛ってますよ…?
私の思考とは裏腹に……
大いに盛り上がる教室。
……なにこれ。
これも、奴の計算のうち?