As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「いいから。じゃあ放課後生徒ホールで一服してから行こ。」


「……うん!」






こんな風に……



三井くんと話をしたり、一緒にいることが多くなっていった。



もちろん、佳明には報告済み。



誤解を招かないように……


すべてにおいて、上手く立ち回れるように……



私は、奔走していた。




考えることはいっぱい。



三井くんはやけに落ち着いていて、冷静に一つひとつをこなしていた。




「りょーすけくん。」


そんな三井くんにヤケに構ってくる人物が一人……。




「…何?そんなに頭悩ませて。」


「出店の場所とりが揉めて…。」


「…ふぅ~ん…、なになに、……なるほど。柚ちゃんはどう思う?」


「私は、食品扱う所はできればこっちの校舎で…、で、お化け屋敷とかそういうのは…」



「……もしや、旧校舎?」


「…そう、もしOK出ればですけど…。でも人の出入り考えると、こっちのほうがいいのか……。」


「……。俺から話してやろうか?」


「…え、いいんですか?」


「…そのお化け屋敷するクラスのコと校長に交渉してやるよ。」


「…ありがとうございます!」


「いえいえ~。」



長身で、柔らかい物腰。

澄んだ瞳。



生徒会長兼、学園祭実行委員長。



爽やかが服を着ているこの人は、


三井宏輔…。



そう、眼鏡を外した三井くんとそっくりな、三井くんのお兄さん。




「…でも、交渉には花が必要かな。柚ちゃん、付き合ってくれるよね。」



「もちろんです。」



「…じゃあ後のことは、良輔、頼んだ!」


「……はいはい。」




三井くんとはまた違って…
ちょっと肉食系でガツガツしている。


…が、恐ろしい程に要領のいい彼は、先生ウケも良い優等生。



「…いいなあ、三井くんは。あんな素敵なお兄さんがいて。」



「……そう?外づらだけはいいからなあ…。」



お兄さんの話になると、三井くんはちょっとだけ卑屈になる。



出来のいい兄弟を持つと、少なからず誰しもこうなるのかな。



私は然り、中道も……そうだ。






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