As Time Goes By ~僕等のかえりみち~






校内放送が流れ……、






生徒達は、各々に体育館へと向かって行った。





「…ゆーうっ、まだぁ?」




律が私を急かす。




「…待って。………あれ?おかしいな……。」





「アンタ何探してるの?」




「楽譜!昨日確かここに入れっぱなしだったはずなんだけど……。」




机の中を、何度も探す。




「……ない。」



「家に持って帰ったんじゃないの?」



「ううん、いつもここに置きっぱなしにしてる。」




律に促され、鞄をひっくり返す。




「……あれ…?」




それでも……



出て来ない。




「りっちゃん、先行ってて。冷静になって探してみる。」



「手伝おうか?」



「ううん。すぐ見つかるはず。」



「…そう?んじゃーお先に。」




心配かけないように笑顔で手を振り…


律を見送る。






途端……




大きな不安がのしかかる。




元々、譜面なんて大して見もしない。



だけど………




本番で間違えたら?



テンパって、どこを弾いてるのかわからなくならない?



あれは私の保険のようなものであり……



最後の助け船。




「…そうだ。もしかして……ロッカー?」




不安を払拭させたい一心で、ロッカーの中を掻き出すようにして……床へと落としていく。





「…ない。」






最後に……


あれを見たのはいつ?




……昨日は?




いや、昨日は楽譜に触れてもいないはず。




でも……



記憶違いかもしれない。





私は廊下に飛び出して……




音楽室へと向かう。




どうか自分の勘違いであって欲しい。




中道との最後の練習。



心躍らせるかのようなあの雰囲気にのまれて……




その存在を忘れてしまっていたのかもしれない。







音楽室の重たい扉をこじ開けて……



迷わず、ピアノの正面へと向かう。





「……嘘でしょ……?」




グランドピアノの中を覗き、



蓋を開けて鍵盤の上まで確認する。



机の上、


棚の中、



黒板………。







どこにも………



なかった。





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