As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…なんで…?どうしてよりによって本番前に……?」
私はその場に座り込み……
足元の床を、拳で叩く。
「…痛い……。」
夢ではない。
これは……
現実。
最後の落とし穴。
いつもいつも肝心な時に……
何かが起きる。
ツメが甘いって何度言われてきたかわからない。
けれど……
これは、私だけのことじゃない。
私の演奏で……
クラスの合唱の印象が左右される。
私は時計にチラリと目をやった。
今からなら……
まだ、間に合う?
不安を抱えて本番に挑むよりは……
例えギリギリになって、切羽詰まるようなことになっても…
確実な方を選びたい。
「……よし。…行くか。」
私はすぐさま立ち上がり、再び音楽室の扉を開いた。
こういう時に……
人よりちょっと足が速いことに感謝したい。
行き先は……
私の家。
家用の楽譜なら……
確実に、ピアノの上にある。
ふうっとひと息吐いて……
長い廊下を、一直線に駆け出した。