As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
一方の俺は……。
地元の最弱チームのピッチャー。
秀でている訳でもなく、奴らにしたら……。
「ヘッポコ!ちゃんと投げて来いよ!」
4番バッター、少年・中道が暴言するように。
ヘッポコピッチャーの代名詞を背負っていた。
監督の指示は敬遠。
勝負すら…させては貰えない。
中道が苛立つのもよく解るが、指示に背くこともできずに……。
カウント、3ボウル。
ぶつくさ言う中道に、主審が注意を促す。
当時、奴は物凄く小生意気で…口も相当悪かった。
けれどその分ちゃんと仕事を熟したし、仲間からの信頼も厚く……。更に言うなれば、敵チームだったはずの俺の兄貴にも気に入られ………。
その人望で、向かうとこ敵なしって感じだった。
中道のチームからはブーイングが起きて……。
その、プレッシャーの中で…振りかぶった。
途端に……
「ヘタレ!」
中道が…声を上げた。