As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「こいつら双子なんだ。俺と同じクラスなのがコイツで、もう一人同じ顔の奴が6組にいる。」
「…え?……はあ?!」
里中くんは驚いていて……
どうやら双子だということは、本当に知らなかったらしい。
ん……?
待てよ。
なら、あの告白は…?
「…じゃあ陸上部なのは?」
「…それはこっち、柚。」
「…彼氏と別れたばっかっていうのは…?」
「…それは、アッチ、結の方。」
「…………。」
いよいよ本格的に里中くんは悩み始めた。
「…なら、俺が好きなのは?」
「…それはこっちだろ。柚の方。」
「………はい?」
待って…、
ナニ、この状況?
「中道、お前……。」
「あ。ばれた?わりぃな、名前逆に教えてみちゃった。」
「…はあ?…マジかよ。」
「はははっ、ごめんて。」
……軽っ。
軽すぎだろ、中道侑。
人の告白何だと……
「…だから、こいつ連れて来たんじゃん。…誤解解くために。」
「………?!」
「…里中ぁ。お前ちゃんと好きなオンナのことくらいリサーチしておけよ。俺らがせっかく協力してやってんだからさあ…。」
「……。ちょっと待って。『俺ら』って?」
「りっちゃんに呼び出されたろ?頼んだの、俺だし。」
「……は?」
えーと、つまり……
「お前がどんな反応に出るか…、りっちゃんと一緒に騙してみたわけ。」
「………。」
「…お前の頭じゃ整理しきれないだろうから、あとは里中から話聞け。」
「…ちょっ…、待ってよ。自分のしたこと棚に上げて何よ、この状況っ。」
「…。お前だって里中に嘘ついたろ。結のフリしてさ。これでプラマイゼロ。」
ぐりぐりっと脳天を肘で押し付けられて……
飄々としながら、去っていく。
……人の気も知らないで……。
やっぱりあいつ、キライ!
「…仲いいんだね。柚ちゃんと中道。」
柚『ちゃん』?
いきなりちゃん付けかい。
「…いやいや、あいつは私の天敵だから。」
「…ふーん?」
「………。」