【完】プリンセス
今日も、生徒会の終わりを待つ。
文化祭と体育祭の反省文ってのを、提出らしくて、今日は最終確認らしい。
いつもながらにする事のない俺は、携帯ゲーム中。
「陽呂君~また暇そうだね」
「おー沙耶、久しぶりだなっ!」
行事で、会ってなかったのもある。
けど……
柏原と心菜が両想いって思って、沙耶を避けてしまってたってのもある。
俺は沙耶の気持ち知ってるからな。
沙耶自身も毎日毎日、帰りに待ち伏せしてたら怪しいって言って来てない事もあったんだけどな。
「ねー最近、壱人君の様子が変なんだけど……何か知らないよね?」
知らないを前提に聞くなんて、どーしたんだろ?
「様子が変って?」
「う~ん……優しいの」
「はぁ?」
優しいなんて、前からじゃねーの?
「前はね? 優しいけど、線をビシッて引いてる感じだったんだー」
線……をねぇ?
「今は、線がないの」
「それは、沙耶を受け入れてるって事じゃねーの?」
悲しげな顔で首を横に振り
「私じゃない。誰かが、壱人君を変えたんだよ」
誰か……が?
もしかして……心菜か?
「壱人君ん家ね、両親多忙だし厳しいのよね」
「へぇ」
「いつも親の顔色見てるって感じかな?」
「そんな厳しいんだ」
「うん。だから、あんな風に演じてるんだと思う」
あー。
あいつ、心菜には普通に喋ってるもんな。