【完】プリンセス
「結構並ぶみたいだし座ってよ?」
「はい」
近くのベンチに座って……
無言。
いや……
今更、付き合うってもさ?
どーしたらいいのか。
敬語も、そのままだし。
心菜の態度も同じだし。
あー……苦しい……。
息が詰まるっ!
皆……早く戻って来いよ。
「陽呂……楽しい?遊園地」
何だ? 急に?
「えぇ……それなりに」
「そか、良かった♪」
何ちゅー笑顔してんだよ?
んな顔……他の奴も見てんのか?
たった、それだけの事で胸がムカムカした。
……俺、大丈夫か?
自分の気持ちに気づいたら、何か急に全部が……。
今まで普通だった事が……。
あーっ!
俺、心狭いっ!
狭すぎるっ!
はいはい、駄目駄目!
こんな考え捨てろ、俺!
こんな考えの狭い男だなんて、自分自身にガッカリだ。
ましてや、心菜は、俺を見て笑ったんだぞ?
ここは、喜ぶとこじゃん?
何で俺、こんな事、思ってんの?
心菜が他の奴に笑顔とか見せたら……俺どーなんのよ?