【完】プリンセス


お化け屋敷の中に、入ると目が中々慣れない。




だた、俺の横で歩きながらクスクス笑う沙耶。

いやいや、お化け屋敷ですよ?沙耶さん。


「陽呂君……可愛い♪」

「は?」


可愛いなんて言われて嬉しい男もいなきゃ、恥ずかしくない男もいねーだろ?


「ヤキモチ……顔に出すぎ」

「う……」


さっきから、脅かして来るおばけを素無視してたし?
邪魔にしたりもしてたし?


バレてた?




「沙耶、おばけ怖くねーの?」

「怖くないよ♪ むしろ、好き?」


……おばけが好き?

俺の周りって変な奴多くね?




「よしっ陽呂君、ここに隠れよ♪」


はぁ?
沙耶……どーしたんだ?

おばけごっこか?


突然、曲がり角の影に入る沙耶に驚いた。


「ここってまだ、半分も来てないでしょ?
ここで、壱人君達待って、私がコッソリ心菜さんと交代するの♪」


すげー楽しそうに言う。

でも、隠れたりするのなんて駄目だろ?
普通に考えてさ?


「あれ? 沙耶?」


なんて思ってたら、その辺に居たおばけと話してる。

必死にここで待つ事、お願いしてるし。


おいおい?!
マンガじゃねーんだから駄目だろ?


って、ゆっくり行けば済む話じゃん?




沙耶って実は、計算高い女なのか?

この行動力すげぇ……。



結局待つ事になった俺達。

横ではワクワク・ドキドキしてる沙耶。





「あっ来たよ?」


小声で喜ぶ沙耶は、すぐ実行していた。

もう、どうにでもなれって思った。



< 132 / 392 >

この作品をシェア

pagetop