【完】プリンセス
お化け屋敷の中に、入ると目が中々慣れない。
だた、俺の横で歩きながらクスクス笑う沙耶。
いやいや、お化け屋敷ですよ?沙耶さん。
「陽呂君……可愛い♪」
「は?」
可愛いなんて言われて嬉しい男もいなきゃ、恥ずかしくない男もいねーだろ?
「ヤキモチ……顔に出すぎ」
「う……」
さっきから、脅かして来るおばけを素無視してたし?
邪魔にしたりもしてたし?
バレてた?
「沙耶、おばけ怖くねーの?」
「怖くないよ♪ むしろ、好き?」
……おばけが好き?
俺の周りって変な奴多くね?
「よしっ陽呂君、ここに隠れよ♪」
はぁ?
沙耶……どーしたんだ?
おばけごっこか?
突然、曲がり角の影に入る沙耶に驚いた。
「ここってまだ、半分も来てないでしょ?
ここで、壱人君達待って、私がコッソリ心菜さんと交代するの♪」
すげー楽しそうに言う。
でも、隠れたりするのなんて駄目だろ?
普通に考えてさ?
「あれ? 沙耶?」
なんて思ってたら、その辺に居たおばけと話してる。
必死にここで待つ事、お願いしてるし。
おいおい?!
マンガじゃねーんだから駄目だろ?
って、ゆっくり行けば済む話じゃん?
沙耶って実は、計算高い女なのか?
この行動力すげぇ……。
結局待つ事になった俺達。
横ではワクワク・ドキドキしてる沙耶。
「あっ来たよ?」
小声で喜ぶ沙耶は、すぐ実行していた。
もう、どうにでもなれって思った。