【完】プリンセス


「ななななな何で? 陽呂?」


馬鹿デカイ声を同時に離れる心菜。


「何でって。俺じゃ嫌ですか?
すみませんねぇ。柏原じゃなくて。」


今のは、ちょっと傷ついたから。
嫌味たっぷりで言ってしまった。

だって、そんな勢いよく離れる事なくね?


「え? あ……違う……ギャー!」


また、出て来たおばけに驚いて、勢いよく離れたのと同じくらい勢いよく俺にくっついた。



……許したりして。



少し落ち着いたところで出て来たセリフ。


「壱は?」

「気になりますか?」

「え? どーしたの? 陽呂? 何か……」


俺の腕に手を絡ませ、動きが止まる。

それでも冷静に答えた。


「何ですか?」

「怒ってる?」


怒ってる?
別に怒ってねーよ。


「怒ってないですけど?」




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