【完】プリンセス
風が通り抜けるくらい開く俺達の距離。

そんな少しの距離を埋める事くらい……いいんじゃねーの?


「柏原は、彼氏じゃないから、いちいち離れてたんですよね?」

「……そだけど?」

「じゃあ、彼氏にずっとくっついてるのは、いいんじゃないんですか?」


俺、間違ってないよな?
これ、普通に正しくない?



なのに…・・・



何で沈黙?


「別に……彼氏とか関係ないし……怖くないんだもん」


……関係ない?


強がりとか、頑固とか……そんなんは可愛いよ?


だけど、関係ないって何?
彼氏も、柏原も同じって事?



それ……すげームカツクんだけど。



「あ、そうですか」

「陽……呂?」

「すみませんでした。じゃあ、もういいです」


さっきまで、心菜のペースに合わせてた俺は、スタスタ歩いた。

必死に追いかけて来るのも無視。



知らねーし。
何で、彼氏と他の男が同じなんだよ。



後で叫ぶ心菜……。



知らねーしっ!

知らねー……。





だーーーっ!

もうっ!




くるりと振り返ったら、その場に小さくなってしゃがんでる。



はぁー……。
ちょっとやり過ぎたか。と反省。




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