【完】プリンセス
用意が出来た俺は、閉まったままの心菜の部屋を叩いた。

そして外から声をかける。


「心菜、いいよ。出て来て?」


そっと開き顔を覗かせた。


「あれ? 真っ暗? ……陽呂?」


不安そうな声で俺を呼ぶ。
暗いのが恐いのは、知ってる。



けど……



今は、ちょっと我慢な?
大切な日だから。

ちょっとだけ我慢して?





テーブルの上に光る8本と大きな1本のろうそく。


そう。


今日は、心菜の18回目の誕生日だ。





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