【完】プリンセス

年が明けて、春には結婚式があるから。
心菜の両親も快くオッケー出してくれたし。


心菜の家には、今頃、誕生日プレゼントが山の様に届いてるんだろな?
それを見るのは、明日な?



「ありがと……陽呂」

「いえいえ」


一歩一歩ケーキに近づいてくる。

そんな心菜をろうそくは優しく照らしてくれる。
俺に、少しずつ愛しい顔を見せてくれるんだ。


なのに、ケーキを素通りして俺の胸に抱きついて来た。


「へ?!」


一瞬何が起きたのかわからなくて素っ頓狂な声をあげてしまった。


心菜から抱きついてきた?!


焦る俺の胸で、小さく呟いた。


「今まで、誕生日ってパーティばっかりだったから忘れてたよ……」

「あれ? ……泣いてる?」


肩が揺れ、声も……震えてる?


「うぅ……だってぇ」


うお?!

いつもなら『うっさい、泣いてない』とかキレるのに。
今日は、認めてる。


最近の心菜は素直で……可愛い。




強がりな心菜も面白いし? 可愛いんだけど。

こんな可愛さだけを前面に出す心菜も悪くない♪



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