【完】プリンセス
「素直な心菜ちゃんに、もう1つプレゼント」
抱きつき密着してる体を少し離す。
にっこりと笑った俺は、
心菜の指を取って、薬指にはめるピッタリな指輪。
ちっさーいダイアモンドが光る可愛い可愛い指輪。
「え?!」
「本当は、もっとちゃんとしたのあんだぞ?
だけどさ? 俺の金じゃねーし……。
だから、コレは俺から。
もう1個のは、部屋に置いてあるからな?」
ジュエリーショップで、見た瞬間。
心菜のイメージにピッタリだったんだ。
だから『部屋のは後で見ろよ?』って言ってみた。
今、見に行かれたんじゃあ、俺の買った指輪なんておもちゃだからな。
「……」
無言で、指輪を見つめる。
顔もあげず、何も言わず。
やっぱ大きいのがいいか?
てか、心菜なんて指輪なんて山ほど持ってるし……いらない?
一応、短期バイトした時の金で買ったんだけどなぁ。
俺の働いた……金なんだぞ?
それに意味があるっちゅうか。
親の金なんかじゃなくて。
これだけは……自分の金で買いたかったんだ。
って、ただの自己満足か?
そりゃそーだよなぁ。