【完】プリンセス
川合の口を押さえに走って周りを確認しながら、小声で話した。
『今日は、特別なんだよ』
『かおりちゃんの?』
ニヤッて笑う川合に「何で知ってるんだ?」って聞いても笑ってるだけ。
『とにかく、俺は急ぐんだから……またな』
『あー柏原?』
何だよっ!
急いでんだってばっ!
振り返った俺に一言。
『大事なのはかおりちゃんだけじゃないよ? 周りも見てね?』
そう言って、手を振って消えて行った。
……アイツ何が言いたかったんだ?
そんな疑問を残して俺は、走った。
待ち合わせしてるって場所まで。