【完】プリンセス
「本当ですか?」


驚いた顔で、用紙を1枚1枚確認する壱。
ペラペラと髪が捲られる音、何だか心地いい。


「あ……ほとんど、陽呂のお陰なんだけどね?」


そこまで驚かれ、申し訳なくなって本当の事を言っちゃった。

最後まで偉そうなキャラでいくつもりだったのに。


「へぇー川合君が……ですか」

「うん♪」


何故か得意気になる。


だって、陽呂凄かったんだもん。

お願いしてオッケー貰えた時の笑顔も、かっこよかったし……///


それより、私の為に必死になってくれた陽呂の姿が1番かっこよかった。


「川合君、ありがとうございました」


一礼する壱に驚く私と陽呂。


「え? いや、俺は別に……」

「さ、心ちゃん、用紙持って行きましょう」

「へ?」


何か、壱……陽呂睨んでない?



って!



壱が私の手を取り引っ張って行く。

何か、今日……引っ張られっぱなしだし。


「あ……心菜さん、帰りに!」

「あっうん!後でね?」


引っ張られながら、振り返って返事だけした。



壱……?

どーしたの?




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