Secret Lover's Night 【連載版】
何で嘘吐いたんだ!とか、仕事が減ったらどうしてくれる!とか。言いたいことは色々あるのだけれど、どうにもその笑顔に阻まれて。
結局何も言えず、両手をデスクに付いてはぁぁっと項垂れる羽目になった。
「どーした?王子」
「どーした?ちゃうわ」
「平気だって。アイツは言い触らしやしないよ。そうゆう女」
ふふっ。と笑うメーシーに、じとりと恨みがましい視線を向けるも、やはり笑顔でかわされて。食えない男だ…と、ため息の色を濃くした。
そんな晴人に、メーシーはいつかリエに言った台詞をプレゼントする。
「俺はさ、お似合いだと思うよ?王子と姫。姫はここの綺麗な女の子だから」
自分の胸元を指しそう言ったメーシーに、晴人はコクリと頷く。
容姿を比べれば、リエやマリなど、今まで付き合ってきた女の勝ちだ。モデルと言う職業に就いているだけに、顔もスタイルも手入れが行き届いて申し分無い。
けれど中身を比べるとなると、それは容易く勝敗が変わる。千彩のあの純情さや素直さに勝てる女は、少なくとも今まで関係を持ってきた女の中にはいない。
複雑そうに顔を歪める晴人に、更に追い撃ちをかけるようにメーシーは言った。
「惚れてんだろ?あの子に」
それは、茶化すわけでも嘲笑うわけでもなく、ただただ真っ直ぐな言葉で。カッと頬が紅潮して行くのがわかった。
「もうええって、それ」
「いやいやー。俺は忘れないよ?」
「頼むから忘れてくれ。失言や」
「いいんじゃね?大人だからって素直になっちゃダメってことはないと思うけど?」
素直に。
その言葉がズキンと胸に響く。
わかってくれるだろうか。
傍に居させてくれるだろうか。
そんな不安が押し寄せて、堪らず俯いた。
「なぁ、メーシー」
「ん?」
「何とか…なるやろか?」
「え?なになに?」
「そんな心配すんなってー。何とかなるやろー」
顔を上げるとそこには陽気に笑う恵介の姿があり、それにホッと安堵の息を吐く。
「そんな情けない顔すんなってー。ほーんまお前は昔っから不器用って言うか何て言うかなぁ。何気にグルーミーやしな」
「…喧しい」
「大丈夫、大丈夫!何とかなるやろー」
あははー。と陽気に笑う恵介は、紛うことなく親友で。一番欲しい言葉を絶妙のタイミングでくれるものだから、思わずポロリと零れた。
「ありがとうな、恵介」
それに不満げに「俺はー?」と尋ねるメーシーにもお礼を言い、帰り際に吉村に貰った紙を広げる。
時刻は17時を少し過ぎたところ。夏の太陽が、空を茜色に染めていく途中だ。
結局何も言えず、両手をデスクに付いてはぁぁっと項垂れる羽目になった。
「どーした?王子」
「どーした?ちゃうわ」
「平気だって。アイツは言い触らしやしないよ。そうゆう女」
ふふっ。と笑うメーシーに、じとりと恨みがましい視線を向けるも、やはり笑顔でかわされて。食えない男だ…と、ため息の色を濃くした。
そんな晴人に、メーシーはいつかリエに言った台詞をプレゼントする。
「俺はさ、お似合いだと思うよ?王子と姫。姫はここの綺麗な女の子だから」
自分の胸元を指しそう言ったメーシーに、晴人はコクリと頷く。
容姿を比べれば、リエやマリなど、今まで付き合ってきた女の勝ちだ。モデルと言う職業に就いているだけに、顔もスタイルも手入れが行き届いて申し分無い。
けれど中身を比べるとなると、それは容易く勝敗が変わる。千彩のあの純情さや素直さに勝てる女は、少なくとも今まで関係を持ってきた女の中にはいない。
複雑そうに顔を歪める晴人に、更に追い撃ちをかけるようにメーシーは言った。
「惚れてんだろ?あの子に」
それは、茶化すわけでも嘲笑うわけでもなく、ただただ真っ直ぐな言葉で。カッと頬が紅潮して行くのがわかった。
「もうええって、それ」
「いやいやー。俺は忘れないよ?」
「頼むから忘れてくれ。失言や」
「いいんじゃね?大人だからって素直になっちゃダメってことはないと思うけど?」
素直に。
その言葉がズキンと胸に響く。
わかってくれるだろうか。
傍に居させてくれるだろうか。
そんな不安が押し寄せて、堪らず俯いた。
「なぁ、メーシー」
「ん?」
「何とか…なるやろか?」
「え?なになに?」
「そんな心配すんなってー。何とかなるやろー」
顔を上げるとそこには陽気に笑う恵介の姿があり、それにホッと安堵の息を吐く。
「そんな情けない顔すんなってー。ほーんまお前は昔っから不器用って言うか何て言うかなぁ。何気にグルーミーやしな」
「…喧しい」
「大丈夫、大丈夫!何とかなるやろー」
あははー。と陽気に笑う恵介は、紛うことなく親友で。一番欲しい言葉を絶妙のタイミングでくれるものだから、思わずポロリと零れた。
「ありがとうな、恵介」
それに不満げに「俺はー?」と尋ねるメーシーにもお礼を言い、帰り際に吉村に貰った紙を広げる。
時刻は17時を少し過ぎたところ。夏の太陽が、空を茜色に染めていく途中だ。