Secret Lover's Night 【連載版】
「一つだけ…一つだけオヤジの我が儘聞いてもらえませんやろか?」
「我が儘?」
「年が明けて二月になったら、こいつの誕生日が来るんですわ。それで18になります」
「はい」
「それまで…どうかそれまで。18になるまで俺に千彩を育てさせてください。お願いします」
ガバリと頭を下げられ、晴人は戸惑った。今はまだ、夏も始まったところ。二月までとなれば、あと半年以上もある。一秒たりとも放したくないと言うのに、それを半年以上も離れろと言うのか。酷過ぎる。
けれど、情けなく眉尻を下げて顔を上げた吉村の表情に、晴人はそんな思いを呑み込まざるを得なくなった。自分は大人だ。この後盛大にごねるだろう千彩と同じことをするわけにはいかない。
一つ深呼吸をし、晴人は「わかりました」と短く答えた。が、やはりそれに異議を唱えたのは、唯一の子供とも言うべき千彩で。
「イヤ!ちさはるとおる!」
「ちー坊、ええ子やから。な?」
「ちさはイヤ!」
限界ギリギリまで目に涙を溜めた千彩が、イヤイヤと首を大きく振る。それに伴い、ポタリ、ポタリ、と紺色のキュロットに涙の染みが出来た。
そんな千彩を宥めようと吉村は必死に言葉を掛けるが、どれもこれもが裏目に出てしまって。わんわんと泣き始めた千彩を宥めようと椅子を引いた晴人を、「任せて」とメーシーが制した。
「ひーめ?」
「めーしー!ちさイヤ!はるとおりたい!」
「それはわかるんだけどね?ちょっとだけ俺の話聞いてくれる?」
そっと髪を撫ぜられ、千彩はコクリと頷いて顔を上げた。素直なその反応に、メーシーはゆるりと目を細めて笑む。
「さっきお兄様が言ったよね?大人には大人のルールがあるって」
「…うん」
「そのルールをね、王子は守ろうとしてるんだ。大人だから。わかる?」
「ルール…」
「王子だってね、姫と離れるのは嫌なんだよ?だって王子、姫のこと大好きなんだから」
ね?と話を振られ、咄嗟に頷く。千彩に甘いだけの自分や恵介とは違い、メーシーの話ならば千彩も納得してくれるかもしれない。そう思い、フェミニストを誇るこの友人に任せることにした。
「我が儘?」
「年が明けて二月になったら、こいつの誕生日が来るんですわ。それで18になります」
「はい」
「それまで…どうかそれまで。18になるまで俺に千彩を育てさせてください。お願いします」
ガバリと頭を下げられ、晴人は戸惑った。今はまだ、夏も始まったところ。二月までとなれば、あと半年以上もある。一秒たりとも放したくないと言うのに、それを半年以上も離れろと言うのか。酷過ぎる。
けれど、情けなく眉尻を下げて顔を上げた吉村の表情に、晴人はそんな思いを呑み込まざるを得なくなった。自分は大人だ。この後盛大にごねるだろう千彩と同じことをするわけにはいかない。
一つ深呼吸をし、晴人は「わかりました」と短く答えた。が、やはりそれに異議を唱えたのは、唯一の子供とも言うべき千彩で。
「イヤ!ちさはるとおる!」
「ちー坊、ええ子やから。な?」
「ちさはイヤ!」
限界ギリギリまで目に涙を溜めた千彩が、イヤイヤと首を大きく振る。それに伴い、ポタリ、ポタリ、と紺色のキュロットに涙の染みが出来た。
そんな千彩を宥めようと吉村は必死に言葉を掛けるが、どれもこれもが裏目に出てしまって。わんわんと泣き始めた千彩を宥めようと椅子を引いた晴人を、「任せて」とメーシーが制した。
「ひーめ?」
「めーしー!ちさイヤ!はるとおりたい!」
「それはわかるんだけどね?ちょっとだけ俺の話聞いてくれる?」
そっと髪を撫ぜられ、千彩はコクリと頷いて顔を上げた。素直なその反応に、メーシーはゆるりと目を細めて笑む。
「さっきお兄様が言ったよね?大人には大人のルールがあるって」
「…うん」
「そのルールをね、王子は守ろうとしてるんだ。大人だから。わかる?」
「ルール…」
「王子だってね、姫と離れるのは嫌なんだよ?だって王子、姫のこと大好きなんだから」
ね?と話を振られ、咄嗟に頷く。千彩に甘いだけの自分や恵介とは違い、メーシーの話ならば千彩も納得してくれるかもしれない。そう思い、フェミニストを誇るこの友人に任せることにした。