Secret Lover's Night 【連載版】

 智人の決意

翌日、三木家に両親が戻った。

「パパ!ママ!おかえりー!」

と元気に出迎えてくれるはずの千彩の姿が見えず、母は慌ててリビングへと駆け込む。そして、予想もしていなかった光景に目を丸くした。

「どないした?」
「お父さん、あれ…」

散らかっているだろうと思っていたリビングは意外にも綺麗に片付いており、おまけにキッチンまでもが片付いている。

そして何より驚いたのが、開け放たれた障子の向こうに見える三人の姿だった。

「何で悠真がここに居るんや」
「さぁ。智人が呼んだんとちがいますか」
「あんな寝方したら、晴人が見たら怒りよるぞ」
「そうねぇ」

布団は三組川の字に並べられているも、三人は一塊の団子状態になって眠っていて。智人の腕の中に千彩、その背を守るようにぴったりと寄り添う悠真。

今この場に晴人が居なくて良かった…と、二人は心底思った。

「智人だけでも起こしますか?」
「せやな」

取り敢えず旅行鞄を置き、母は和室へと向かう。その間にお土産のプリンを冷蔵庫に入れようとキッチンへ向かった父は、冷蔵庫の中身を見て更に驚いた。

冷蔵庫の中には、市販のプリンの他にガラスの器に入れられたプリンがいくつか入っていて。まさか…と思いながら振り返ると、ダイニングテーブルに有紀のものだろう料理本が何冊か積まれているのに気が付いた。


「あいつが料理なぁ…」


父の知る智人は、幼い頃からワガママで、自由気ままな次男坊で。進んで手伝っていた長男の晴人とは違い、家事の手伝いは一切しなかった。それが料理本を見ながら料理をする姿など、父には想像出来なかったのだ。
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